今いまは西せい暦れき32年ねんの終おわりごろです。イエスがバプテスマを受うけてから約やく3年ねんがたちます。少すこし前まえにイエスは弟で子したちとエルサレムでの幕まく屋やの祭まつりに出しゅっ席せきしました。今いまもまだエルサレムの近ちかくにいるようです。（ルカ 10:38。ヨハネ 11:1）イエスは残のこされている半はん年としの間あいだ，ユダヤとヨルダン川がわを渡わたったペレア地ち域いきで伝でん道どうを行おこないます。それらの地ち域いきでも伝でん道どうする必ひつ要ようがあります。

以い前ぜんにイエスは，西せい暦れき30年ねんの過すぎ越こしが終おわった後あと，ユダヤで数すうカ月げつ間かん伝でん道どうし，それからサマリアを通とおって移い動どうしました。そして西せい暦れき31年ねんの過すぎ越こしのころ，エルサレムのユダヤ人じんたちはイエスを殺ころそうとします。その後ごの1年ねん半はん，イエスは主おもに北きたのガリラヤで教おしえ，大おお勢ぜいの人ひとが弟で子しになります。イエスはガリラヤで使し徒とたちを訓くん練れんし，「『天てんの王おう国こくは近ちかづいた』と伝でん道どうしなさい」という指し示じを与あたえて彼かれらを送おくり出だしました。（マタイ 10:5-7）今こん度どは，ユダヤでの伝でん道どう活かつ動どうを組そ織しきします。

この活かつ動どうのために，イエスは70人にんの弟で子しを選えらび，2人ふたりずつ送おくり出だします。ですから，「収しゅう穫かくは多おおい」ものの「働はたらき手ては少すくない」区く域いきで35チームが伝でん道どうします。（ルカ 10:2）イエスが行いこうとしている場ば所しょに弟で子したちが先さきに出で掛かけていくのです。彼かれらは病びょう気きの人ひとを癒いやし，イエスが伝つたえているのと同おなじ知しらせを人ひと々びとに伝つたえます。

会かい堂どうで教おしえることが弟で子したちの目もく標ひょうではありません。イエスは人ひと々びとの家いえを訪ほう問もんするようにと指し示じし，こう言いいます。「どこでも家いえに入はいったなら，まず，『この家いえに平へい和わがありますように』と言いいなさい。平へい和わを望のぞむ人ひとがそこにいるなら，あなたたちが願ねがう平へい和わはその人ひとの元もとにとどまります」。どんな知しらせを伝つたえますか。イエスはこう言いいます。「『神かみの王おう国こくはあなた方がたの近ちかくに来きました』と告つげなさい」。（ルカ 10:5-9）

70人にんへの指し示じは，約やく1年ねん前まえにイエスが12使し徒とを送おくり出だした時ときに与あたえたものと同おなじです。イエスは弟で子したちに，全すべての人ひとから歓かん迎げいされるわけではないと話はなします。しかし，彼かれらの努ど力りょくによって心こころの広ひろい人ひとたちは準じゅん備びができます。この後あとすぐイエスがやって来きた時ときに，それらの人ひとたちの多おおくがぜひイエスの話はなしを聞ききたいと思おもうでしょう。

やがて，35組くみの弟で子したちがイエスの所ところに帰かえってきて，喜よろこびながらこう報ほう告こくします。「主しゅよ，あなたの名なを使つかうと，邪じゃ悪あくな天てん使しも服ふくするのです」。イエスはこの素す晴ばらしい報ほう告こくに感かん動どうし，こう言いいます。「サタンがすでに稲いな妻ずまのように天てんから落おちたのが見みえます。私わたしはあなたたちに，蛇へびやサソリを踏ふみつけ……る権けん威いを与あたえました」。（ルカ 10:17-19）

ここでイエスは，蛇へびやサソリを踏ふみつけるという表ひょう現げん を用もちいて，弟で子したちが悪あくに打うち勝かつことを保ほ証しょうしています。将しょう来らいサタンが天てんから落おとされることも確かく信しんできます。またイエスは，長ちょう期き的てきに見みて本ほん当とうに重じゅう要ようなのは何なにかを弟で子したちが理り解かいできるよう，こう言いいます。「邪じゃ悪あくな天てん使しが服ふくしていることを喜よろこぶのではなく，あなたたちの名な前まえが天てんに記しるされたことを喜よろこびなさい」。（ルカ 10:20）

イエスは深ふかい喜よろこびを感かんじ，謙けん遜そんな弟で子したちを通とおして強きょう力りょくなことを成なし遂とげている父ちちを賛さん美びします。それから弟で子したちにこう言いいます。「あなたたちが見みているものを見みる人ひとは幸しあわせです。あなたたちに言いいますが，多おおくの預よ言げん者しゃや王おうは，あなたたちが見みているものを見みたいと願ねがいながら見みず，あなたたちが聞きいている事ことを聞ききたいと願ねがいながら聞きかなかったのです」。（ルカ 10:23，24）